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地方の建設コンサルタントに転職した人の声

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建設コンサルタント会社で道路設計の技術職から営業職に転身したIさんのインタビュー写真

建設コンサルタントで約6年間、道路設計に携わってきたIさん(31歳)。深夜残業・休日出勤が常態化し、家族との時間が削られていく。そんな日々に限界を感じ、同業他社で初めての営業職への転身を決意しました。入社直後に双子が誕生するというタイミングで、職場の「チームで支え合う文化」がどう支えになったのか。技術職出身ならではの視点で語っていただきました。

転職の軸は「福岡・家族・営業スキル」の3つ

――転職活動ではどのような軸で会社を探していましたか?

大きく3つありました。1つ目は「福岡を離れないこと」です。家族がいますし、家も購入していたので、「地元で働く」ことは絶対に外せない条件でした。2つ目は「ある程度規模のある会社であること」。家族を安心して養えるよう、安定感も重視しました。

3つ目が、「新規開拓を積極的に行う環境で、営業としての実力をつけること」です。それまで技術職一本でしたが、人と話すことが好きで、営業として一から実践的に力をつけたいという気持ちがありました。応募した会社の福岡支店は設立から5年ほどで、まさに新規開拓を進めていくフェーズ。「この環境なら、営業として本気で成長できる」と感じたんです。

――転職先はどのように探しましたか?

リクルートエージェントを使いました。もともとグループ会社に応募していたんですが、「未経験には少し難しいかも」ということで、現在の会社を紹介してもらったんです。求人票も同じエージェントに掲載されていたので、自分でも改めて応募しました。事前にホームページで事業内容を詳細に確認して、「ホワイトな会社なのか」なども調べた上で決めましたね。

前職も大手ではありましたが、今の会社も業界では確かな実績がある会社だとわかったので、辞めることへの不安はほとんどありませんでした。応募したのも、結果的にここ1社だけでしたね。

毎晩10時まで残業、休日出勤も当たり前だった前職

――前職はかなり多忙だったそうですね。

そうですね。道路設計の技術職として、公共プロジェクトをひとりで案件を抱えて進める日々でした。毎日夜10時ごろまで残業し、土日も休日出勤が当たり前。3歳の子どもがいましたが、成長を間近で見守る時間はほとんど取れていませんでした。

転職を考え始めたころ、妻が2人目を妊娠中で、しかも双子だとわかったんです。このまま続けていたら家族に対して何もできない、という危機感が転職の背中を押しました。

――技術職のまま別の会社へ、という選択肢はなかったんですか?

ちょっとはありましたよ(笑)。でも、最終的には、自分に関しては設計の仕事自体から一度離れた方がよいと判断しました。ミリ単位のミスも許されないシビアな世界で、最後のほうはCADを開くこと自体にアレルギー反応が出るほどで。

技術を突き詰めていくより、幅広い分野に関わりながら人と話す仕事の方が自分には向いているとずっと感じていたので、思い切って営業職に転身することにしました。新規営業といっても飛び込み営業などではなく、決まったルート営業でこれまでも慣れ親しんできた行政の方々との関りなので、営業未経験の自分でも続けていけそうだと思ったんですよね。

18時半に帰宅できる。地元・福岡で育児に関われる毎日

――入社して半年、生活面での変化はいかがですか?

前職と比べ物にならないくらい、残業時間が減りました。今は毎日18時半ごろには家に帰れています。住んでいるところから会社まで電車通勤・ドアtoドアで25分ほどなので、通勤の負担もほとんどありません。生後3カ月の双子がいますが、夜の寝かしつけや家事を妻と一緒にできているのは、この距離感と働き方のおかげだと思っています。もし前職のまま双子を迎えていたら、妻に全部の負担をかけてしまっていたかもしれない。転職してよかった、と日々実感しています。

地元で働くことの良さは、通勤だけじゃないんですよね。自分が携わった仕事が、住んでいる地域のインフラとして残っていく。「ここの道路、自分たちが設計に関わったんだよ」と言えるのは、地元で働いているからこそ実感できることだと思います。

プライベートの目標は、双子が6時間連続で寝てくれることですね(笑)。今は2人とも夜中に起きるので、なかなか寝られなくて。それが落ち着いたら、妻と旅行に行きたいと思っています。

――前職は「一人で案件を抱える」スタイルだったとのことですが、今の職場はどう違いますか?

一番の違いは、チームで動く文化が根付いていることです。社内ではMicrosoft Teamsを使って営業と技術担当が一緒のチャンネルに入り、案件の進捗をリアルタイムで共有しています。誰がどんな状況かが全員に見えているので、業務が重なりそうになると自然と「そこはフォローするよ」と声がかかる。前職は完全に個人戦でしたから、このチームとしての動き方は転職して一番よかった点かもしれません。

技術の経験が「武器」になる。知らなかった世界の広さに気づいた

――技術職の経験は、営業の仕事にどう活きていますか?

道路設計のバックグラウンドがあると、自治体のご担当者と技術的な話ができるのは強みだと感じています。「この課題にはこういうアプローチが考えられます」と根拠を持って話せるので、ゼロから業界を学ぶ方とは違う部分で信頼してもらいやすい面はあるかと思います。1年も経てば自律的に動けるだろうと周りからも期待してもらっていて、それがプレッシャーでもあり、励みにもなっています。

――一方で、新しく気づいた難しさはありますか?

業界の広さです。道路設計をずっとやってきたので、建設コンサルタントの仕事はある程度わかっているつもりでいたんですよね。でも営業として実際に動いてみると、農業振興・都市計画・造成・環境分野など、自分がまったく知らなかった領域が山のようにあって。前職にいたままでは気づかなかったと思います。

一人前になるのにどれだけかかるんだろう、とは正直思います。ただ自分はもともと浅く広くいろんなことを知るのが好きなタイプなので、専門家一本よりジェネラリスト的に動ける営業職の方が自分には合っているとも感じています。社内のさまざまな分野の専門家に相談しながら、「Iに聞けばなんとかなる」と思ってもらえる存在になれたら、というのが今の目標です。

この業界が好きだから続けてきた。道路設計で関わった命を守る仕事

――もともとこの業界に入った理由を教えてください。

高校2年生のとき、東日本大震災のニュースをずっと見ていて、インフラの仕事に関わりたいと思ったのがきっかけです。大学で土木を専攻して、そのまま建設コンサルタントへ就職しました。今もYouTubeの「おすすめ動画」などに当時の映像がおすすめされてくることがあって(笑)、初心を思い出させてもらっています。

――前職でとくに印象に残っている仕事はありますか?

熊本の被災道路の設計です。数年前の豪雨で氾濫した際に損壊した道路を、どう復旧させるかという案件でした。川を広げることが地形上難しい場所だったので、道路をかさ上げして避難ルートを確保する設計をしました。命に関わるインフラに自分が携わった、という経験は今でも誇りに思っています。営業として形は変わっても、そういう仕事の入り口をつくる役割に、やりがいを感じています。

――建設コンサルタントは離職率が高いと言われる業界ですが、続けてこられた理由は何だと思いますか?

公共事業で税金を扱う仕事なので、書類一つひとつの根拠を丁寧に示すことが求められます。住民や発注者に対して「なぜこの設計が必要か」を説明できなければいけない。このシビアさに強いストレスを感じる方は、続けるのが難しいかもしれません。ただ私は、この業界が好きですし、人の役に立っていることが目に見えてわかる仕事の価値は手放せなかった。年収を維持しながら社会に貢献できる、というのも正直な理由のひとつです。

「気持ちが高ぶる方へ進めば、道は開ける」

――同じ業界でワークライフバランスに悩む方へ、メッセージをお願いします。

「自分のしたいことを、本当にやってください」と伝えたいですね。耐え続けるより、自分の気持ちが前向きに高ぶる方向に進んだ方が、人生はうまくいくことも多くあります。「これをやっていて楽しい」と思えることが1つでもあれば、それを軸に転職活動を考えてみてください。漠然とした努力より、熱中できる何かを見つけることの方が大事だと、自分の経験からそう思います。

インタビューを終えて

「双子が6時間寝てくれることが今の切実な目標です(笑)」と、はにかみながら語るIさん。その明るさの裏に、技術職として積み上げてきた経験への自信と、家族を大切にしたいという強い意志がありました。道路設計の専門知識を武器に、チームで動く営業職へ。技術職出身者が活躍できるキャリアの選択肢として、Iさんの転職は1つのヒントになるかもしれません。

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