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建設コンサルタントの平均年収は、およそ498万円(※1)です(2023年12月20日調査時点)。2022年度の日本の平均年収は458万円(※2)だったため、40万円ほど高くになっています。一般的な会社員と比べても高水準といえるでしょう。
しかし、建設コンサルタントは残業が多く、休日出勤を求められるケースも珍しくありません。捉え方は人それぞれですが、仕事に見合った水準かどうかは判断が分かれるところでしょう。
政府が運営しているポータルサイトのe-stat。同サイトで建設コンサルタントの2019年度の給与や年間賞与額をピックアップしました。
年齢 | 支給額 (千円) |
年間賞与など(千円) |
---|---|---|
~19歳 | 167.3 | 155.6 |
20~24歳 | 189.0 | 495.8 |
25~29歳 | 226.2 | 767.5 |
30~34歳 | 242.6 | 789.4 |
35~39歳 | 269.9 | 829.5 |
40~44歳 | 282.6 | 845.4 |
45~49歳 | 302.0 | 932.3 |
50~54歳 | 334.0 | 1084.6 |
55~59歳 | 357.6 | 1258.6 |
年齢 | 支給額 (千円) |
年間賞与など(千円) |
---|---|---|
~19歳 | 166.5 | 152.0 |
20~24歳 | 196.6 | 489.8 |
25~29歳 | 224.4 | 805.6 |
30~34歳 | 249.4 | 892.3 |
35~39歳 | 282.2 | 1008.8 |
40~44歳 | 306.8 | 1147.4 |
45~49歳 | 332.0 | 1204.5 |
50~54歳 | 342.6 | 1209.9 |
55~59歳 | 366.9 | 1255.5 |
年齢 | 支給額 (千円) |
年間賞与など(千円) |
---|---|---|
~19歳 | 208.8 | 271.5 |
20~24歳 | 225.2 | 512.8 |
25~29歳 | 263.6 | 705.2 |
30~34歳 | 290.5 | 753.0 |
35~39歳 | 318.6 | 917.3 |
40~44歳 | 360.1 | 1154.1 |
45~49歳 | 387.6 | 1311.3 |
50~54歳 | 390.2 | 1289.4 |
55~59歳 | 402.3 | 1342.7 |
建設コンサルタントの平均年収を地域別で比較した場合、最も高額な地域は関西の515万円となっていました。都道府県でみると、関西エリアに含まれる和歌山県が550万円と最も高い水準となっています。和歌山に次いで奈良県、大阪府の建設コンサルタントの年収が高いようです。
一方で、平均年収が最も低い地域は九州・沖縄の437万円となっていました。とくに宮崎県は364万円と低めで、和歌山県との収入の差は185万円にもなります。また、佐賀県が388万円、長崎県が391万円、鹿児島県は406万円と、いずれも九州・沖縄の平均収入を下回っています。
正社員で建設コンサルタントとして活躍する場合の平均年収は350万円~700万円です。就職当初は少なめであるものの、勤務年数に応じて、また実績や資格取得によって給与がアップしていくケースがほとんど。実力次第では一気に収入を上げることも夢ではありません。
結果が収入に反映されやすいので、企業務めであっても手応えを感じられるという人も多いようです。
建設コンサルタントは正社員だけでなくアルバイトも募集しており、時給は1,000円~1,500円に設定されていることが多いです。たとえば日給1万円で月に20日働いた場合、年収は240万円となります。
アルバイトの業務内容は社員のサポートがメインで、コンサルタントとしてのスキルを高めるのは難しいかもしれません。一方で採用されやすいというメリットがあります。アルバイトとして働きながら、正社員を目指すかどうか検討する…というのもいいかもしれませんね。
お客様との打ち合わせと現場作業の多い建設コンサルタントは、1人で立ち回ることが多い仕事のため、フリーランスでも働きやすい職業と言えます。スキルを身に着けてお客様からの信頼を得られれば、独立しても十分にやっていけるでしょう。
また、会社員として働くのと比べて安く受注でき、売上の大部分を収入にできるので、年収1,000万円を超える人も少なくありません。
建設コンサルタントとして働く場合、ボーナスはしっかりともらえるケースが多いようです。転職情報サイトなどに掲載されている企業のほとんどは年に2回、夏冬合わせて給料の4か月分の賞与を支給しています。企業によっては、夏冬合計で給料の8か月分を支給しているところもあるようです。
ただし、インフラ事業は景気の影響を受けやすく、受注数の減少は賞与に直接作用するため注意が必要です。
現在では、業種にかかわらずほとんどの企業で残業手当、役職手当、家族手当などの手当を支給しています。それらにくわえて建設コンサルタントは資格手当を支給している会社が多くなっています。とくに、国家資格である技術士を取得している場合は、非常に有利となるでしょう。また、残業の多い業種ではありますが、その分しっかりと手当が支給されるのはうれしいポイントです。
日本全体の平均年収と比べるとやや高めの傾向を持つ建設コンサルタントですが、建設コンサルタントで年収1000万円を超えることを目指すとなると、最大手の建設コンサルタントで働くことがマストと言えそうです。
しかし、ご紹介のとおり建設コンサルタントは売り上げ規模が大きい大手の会社(=都内)になるほど、残業時間が増える統計データがありますので、注意が必要です。
どんなにキツくても稼ぎたい!という人には都内の大手建設コンサルタントで働くことがおすすめですが、もし給料よりも働きやすさを重視するのなら、大手より残業時間が少ない傾向の地方の建設コンサルタントがおすすめです。
実際に、大手の建設コンサルタントに勤めて資格を取得したり、経験を積んだ技術者が、年収を落としてでも家族との時間を大切にしたいと、地方のコンサルタントへ転職する例もあるようです。
働きやすさを重視する人に!
とにかくホワイトな
建設コンサルタント会社
入社したばかりの頃も、手取りで20万円以上ありましたし、繁忙期には30万円ぐらい貰えました。稼げる理由はただひとつ、忙しいからです。
繁忙期は終電ギリギリが当たり前、土日休みと聞いていましたが、実際にはどっちかしか休めません。ここまで忙しいのは12月~3月だけなので耐えられますが、1年中続くならいくら稼げても耐えられなかったと思います。
建設コンサルタントの収入の良さに惹かれて、今の会社に転職しました。入社3年目・30代ですが、給与はかなり良いほうだと思います。妻は専業主婦で、子どもも2人いますが、家計には余裕があります。
ただ、残業がとにかく多い。繁忙期は終電が当たり前…とはよく聞く話ですが、繁忙期以外でも、基本的に22時ぐらいまでは会社にいますね(22時過ぎると深夜手当を出さないといけなくなるので、会社的にも避けたいらしい)。
仕事は面白いし、収入も多く、やりがいは十分ありますが、やっぱり家族と過ごす時間をつくれないのは辛いです。私が帰るのは、子どもたちが寝静まったころなので、平日はほとんど話せません。仕方ないと割り切って、休日はいっぱい家族サービスしています。
建設コンサルタントとして働いています。基本給自体はさほど高くないですが、残業代が基本給を上回るぐらいあるので、同年代の倍は稼いでいるんじゃないかと。ただ残業はかなり多くて、まさに「残業地獄」です。月200時間を超えることもあります。完全週休二日制のはずですが、仕事が終わっていなければ出社しなければなりません。
新入社員の大半は、1年持たずに辞めてしまいます。1年経てば離職率がぐっと下がるので、「入社してからの1年間を耐えきれるかどうか」でラインが引かれる気がしますね。学歴関係なく稼げるので、収入を第一に考える人には向いていると思います。
以前は都内の大手建設コンサルタント会社で働いていましたが、両親が高齢になり、私が長男ということもあって、地元に戻り、地方の建設コンサルタント会社に転職しました。給与面は、今でも比較的多いほうだと思います。賞与や能力給制度が導入されているので、都心との格差はそれほど大きくない気がします。
残業時間はかなり減りました。前の職場は本当に忙しくて、終電帰りどころか朝3~4時にやっと終わってタクシーで帰宅。繁忙期は徹夜で働いたこともあります。寝る時間も満足につくれなくて、常に納期や打ち合わせに追われて…。週休二日制ではありましたが、実際のところは月休二日制みたいな(笑)月に3日休めたらむしろ良かったぐらいです。
今は残業が多い月でも30時間ぐらい。自由に使える時間が増えて、家でのんびりしたり、後輩とゴルフに行ったり、上手く仕事とプライベートを両立できるようになりました。
都心から地方の建設コンサルタントに転職!
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一言で大手建設コンサルタント会社といっても、会社によって年収の差が大きく、40代前半の平均年収は500万円~1,000万円程度の幅があります。給与の高い会社の場合は、40歳で1,000万円を超えることがほとんどで、同じ大手建設コンサルタント会社でも年収が低いところと比較して、年収500万円程度の差が生じるケースも。
年収1,000万円を超える人の特徴としては、スペックの高い人や業務賞与が多い、困難に立ち向かう力がある人などが挙げられます。
建設コンサルタントで独立というと、どうしてもリスク面を考えてしまう人が多いでしょう。とはいえ、これは元請けの事務所を構え社員を雇う場合です。
一方で、技術者個人が独立する場合は、少ないリスクで経営を続けられます。携帯とパソコンさえあれば独立可能ですし、初期投資や借金の必要もありません。請けた仕事をしっかりと終わらせられれば、1人でも年間1,000万円稼げます。また、フルタイムで働いていれば、年収2,000万円も不可能ではないかもしれません。
日本の場合、建設業界において設計は建設コンサルタント、施工はゼネコンというように分かれていますが、海外の場合ははっきりと分かれておらず、計画から施工に至るまでエンジニアリング企業が担当しています。また、設計者は施工に携われないですが、建設エンジニアは計画から施工まで広く関与できるのです。
外資系の建設コンサルタント会社において建設エンジニアの地位は非常に高いため、東南アジアなどの企業でも年収1,000万円が叶えられるでしょう。
もっとも年収が高かった企業は、セントラルコンサルタントの922万円です。建設コンサルタント業界の平均と比べ、400万円以上も年収が上回っています。
同社は総合建設コンサルタントとして長い歴史を持つ会社で、上下水道や河川、都市インフラなどの領域に強みを持っています。会社は社員とともに成長するもの、と考えており、人材育成にも力を入れているのがポイントです。社員の資格取得支援や社内のOJTなど、若手を手厚くサポートする体制を整えています。
2位は、年収が903万円の建設技術研究所です。同社はダムや大堰、橋梁など規模の、大きなプロジェクトの実績が豊富な会社です。建設コンサルタント会社の大手の一つで、BIG3にも数えられています。
同社はSDGsやサステナビリティに力を入れており、建設事業や環境分野において、さまざまな取り組みを加速させています。また、多様なバックグラウンドを持つ社員が働きやすいように、テレワークやダイバーシティなどを推進しています。
3位は八千代エンジニヤリングの860万円です。大手総合建設コンサルタント会社の一つで、環境・エネルギー分野から都市インフラ基盤まで、幅広い領域を手がけています。実績も多く、さまざまな地域のプロジェクトに携わっています。
同社は社員が働きやすい環境づくりに注力しているほか、手厚い福利厚生を用意しています。また、フレックスタイムやノー残業デーなどを取り入れ、社員のワーク・ライフ・バランス推進をサポートしています。
4位は年収826万円のNJSです。こちらも長い歴史を持っている会社で、コンサルティングとソフトウェア事業を展開しています。特に上下水道や環境分野のコンサルティングを得意としており、同領域で多彩なソリューションを手がけています。
ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいるのも特徴。週1回のペースで社員の業務を見える化したり、働き方の見直しを議論できる場を設けたりと、社員がメリハリを持って働ける環境構築位取り組んでいます。
5位は大日本コンサルタントの772万円です。防災設備や各種インフラのコンサルティングに強みを持つ会社で、本体・施設設計から調査、改修設計に至るまでワンストップで対応しています。
同社は、手を挙げたらやりたいことができる企業文化の醸成に力を入れている会社です。社員一人ひとりの成長やキャリアアップを支援する仕組みが整っており、さまざまな制度を通してサポートを行っています。
建設コンサルタントの年収6位は、アジア航測の752万円です。同社は日本国内に多数の拠点を持っており、環境・エネルギー分野や道路・鉄道分野でのコンサルティングのほか、AIやIoT技術を用いたイノベーション支援など、さまざまな事業を手がけています。
福利厚生が充実しているのもポイント。各種手当を支給しているほか、社員の資格取得も積極的にサポートしています。休暇制度も手厚く、社員が有休と合わせて長期休暇を取りやすい環境を整えています。
年収7位は、オリエンタルコンサルタンツグローバルの729万円です。7位とはいえ、建設コンサルタントの平均年収と比較して200万円以上高い水準になっています。
同社は、世界中で多数のプロジェクトに携わった実績を持つ会社です。事業領域は広く、エネルギー分野から都市インフラまで対応しています。人材育成に注力しているのも特徴で、キャリアに応じた各種研修とスキルアップ支援制度を用意し、社員の成長をサポートしています。
8位は年収713万円のいであです。同社は大手総合建設コンサルタント会社の一つで、主に河川や道路部門と交通・物流基盤に関するコンサルティングを行っています。また、環境コンサルティングや海外でのインフラマネジメントも手がけています。
同社は教育制度が充実しており、指導員制度を設けてサポートするなど、社員一人ひとりに合わせた研修を実施しているのが特徴。仕事の基礎から高度な技術の習得まで、社員の希望に合わせたバックアップができる体制も整えています。
9位は年収711万円のオオバです。同社は街づくりや都市インフラ基盤などのコンサルティングを手がけている会社で、設計やシステム開発、土地管理まで幅広く対応しています。また、太陽光発電コンサルを始めとする事業ソリューションも提供しています。
同社は人材採用も積極的で、新卒やキャリアはもちろん、退職者の再雇用を促すウェルカムバック制度も用意しています。やむを得ない事情で退職した場合でも、再度チャレンジできるのが魅力です。
10位はパシフィックコンサルタンツの706万円です。同社は大手建設コンサルタント会社の一つで、空港や港湾、道路・交通など都市基盤やインフラ分野で多数の実績を有しています。テクノロジーの活用にも積極的で、AIやビッグデータを活用したソリューションも提供しています。
同社は人材育成にも注力しており、階層別に応じた研修・教育制度を設けています。また、コーチングやキャリアカウンセリングなど、社員のキャリアデザイン支援もサポートしています。
ホワイトな
建設コンサルタント会社の見分け方