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東京都内の大手建設コンサルタントから地方の建設コンサルタントに転職したAさん(53歳)。大学卒業後に建設会社に3年、都内の大手建設コンサルタントに15~16年務め、地方の建設コンサルタントへ。
現在13年目。プレイングマネージャーとして、橋梁設計等の実務と部のマネジメント業務を行なっているAさんにインタビューしてみました。
――本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、東京都内の建設コンサルタントで大変だったことは?
業務ごとに客先が異なるので、常にアウェー感を感じていました。人材不足で残業も多く、忙しい日々でしたね。
――帰る時間は、終電とかですか?
終電、徹夜が当たり前。納期や打ち合わせに追われて、ほとんど寝ずの状態でした。都内の建設コンサルタントに入った当初は、バブルの終わりで仕事量が多かったことも影響していると思います。
――想像を絶します…。休めたのですか?
週休2日制ではあったのですが、土日に出勤することがけっこうありましたね。月に3日休めたら良かったくらい。
――過酷な労働環境ですね…。ほかにキツかった点はございますか?
管理職(課長)でしたが、年上の部下との関係や売上げなど、会社から常に対応策を求められていたこと。会社の規模が比較的大きい会社で業務も縦割りで、横の連携も感じられなかったことも大変でした。
――逆に都内の建設コンサルタントの良い点を挙げるとしたら?
国土交通省やネクスコなど、上位官庁の業務に従事できることはやりがいでした。最新の技術情報がいち早く入手できる点も良かったですね。
――そうしたビッグプロジェクトに携わるなかで学べたこととは?
プロフェッショナルとしての仕事の接し方や姿勢、厳しさ。管理職としては、組織管理の重要性、難しさも実感しました。
――都心からなぜ地方の建設コンサルタントを視野に入れたのですか?
若い頃は東京で一旗挙げてやろうって気持ちが強くて。でも歳を重ねて40歳を迎えるにあたり、私自身が長男でもあることから、実家にUターンして働こうと考えました。
――なるほど、Uターンの条件はあったのでしょうか?
実家から近いことと、これまで培ってきたノウハウを生かせること。スキルUP(資格取得)も条件でした。
当時は、地方の建設コンサルタントのことがわからず、建設会社でも良いかなとも考えていましたが。
――地方に行くにあたり、家族の反対はとくにありませんでしたか?
妻からの反対はなかったですね。全面的に理解してくれています。私の場合は生まれ育った場所に戻る形だったので、大きな問題はなく。
――数ある建設コンサルタントのなかでいまの会社を選んだ決め手は?
ここを知ったのは、地元の大手建設会社の面接を受けたときでした。
「建設コンサル志望なら、もう受けましたか?」と聞かれましてね。恥ずかしながら、最初は測量の会社だと思っていたんです。建設コンサルタントもやっていることを知って、すぐに検索しました(笑)
――そういう経緯があったんですね(笑)。建設コンサルタント自体をやめたいという気持ちはとくになかったですか?
はい、仕事自体を嫌いになったわけではないですから。毎日同じことをやるのは性に合わない性格で、日々やることが変わる建設コンサルタントは楽しいですよ。自分の時間を作りやすい環境も魅力のひとつ。納期に間に合うように調整すれば良いわけですし。
――都内と地方の建設コンサルタント、働きやすさの違いは?
違いはとくに感じません。働きやすさは、会社自体の資質で決まってくると思うので。
建設コンサルタントのお客様は、国や県、市町村等の役所がメインであり、仕事自体に変わりはありません。働きやすさとは少し変わるかもしれませんが、都内の大手建設コンサルタントはとにかく縦割りということ。独立採算制で横のつながりはありません。オフィスがきれいというところは良いですけどね(笑)。
逆に地方は他の部署と関わることが比較的多く、ギスギスしている感じもありません。
――給与面はどうですか?
私は、比較的いただいている方だと思います。結局、都内の建設コンサルタントでも、高額な給与を得られるのは最大手くらいでしょう。
いま働いている会社は、都内の平均的水準ではないかな。いまは賞与や能力給制度が導入されているから、実力のある人は所得が高くなる傾向。都内との格差も軽減しているのではと感じます。
――それは驚きでした。忙しさの面ではどうでしょう?
これも都内と地方でというより、会社によって異なると思います。私の場合、残業が減り、プライベートの時間が増えました。都内の建設コンサルタントでは徹夜をした経験もあり、毎日終電で帰っていた記憶があります。
――残業時間はどれくらい変わりましたか?
50時間くらい減りましたかね。いまは残業があっても、月に30時間くらい。昔は3~4時に終わって、タクシーチケットで家に帰ったりしていましたよ(笑)
――地方の建設コンサルタントでのやりがいはどこですか?
地元に密着した仕事が多く、お客様と親密な関係になれる点が、都市部の建設コンサルタントとは大きく異なると感じます。
事業も身近なものが多いため、自分の仕事が地域に貢献していると実感しやすく、やりがいに繋がります。たとえば、自分が設計したものを工事後に確認しやすい、その評価をお客様から確認しやすい、とかね。
――都内の建設コンサルタントとそんなに違うものですか?
都内は一期一会みたいなものですよ。同じお客さん、同じ担当者に会うことは稀で、常に一から相手との関係を構築しなきゃいけない。気ごころしれたタイミングで、また別の仕事になってしまったりするなんてザラですし。
――どちらがやりやすいと感じますか?
ずっと同じ人のほうが、当然やりやすいですね。他社との競争力、会社としての品質向上を考えたら、都内の建設コンサルタントの働き方のほうが良いとは思いますが。
――地方は住みやすいですか?
東京に4年、大阪に16年ぐらいいましたが、間違いなく地方です。ど田舎でも、大都会でもない中核市は、とくに住みやすいと思います。
不自由はないし、生活に困らない。ごちゃついていないし、大型スーパーもある。もう都心には戻れないですね(笑)。
――それを聞くとわたしも地方に…(笑)。休日はなにをされていますか?
後輩とゴルフに行ったり、家でのんびり過ごしたりですかね。
――最後に、今後の夢や展望を聞かせてください!
これまでと同様、地元に密着した仕事をし、地域に貢献していきたいですね。上位官庁や民間の業務にも積極的に取り組み、今まで以上に部署、会社を大きくし、大手コンサルと同等以上の会社にしていきたいと思っています。
個人的には、生涯に渡りインフラの設計・維持管理に関わる仕事がしたい。お客さんから仕事を受けるのではなく、役所の仕事を替わりに行なっていく。先駆者であるべきだと思っています。
――本日はありがとうございました!
現在は地方の建設コンサルタントで部長を務めるAさんからは、さまざまな経験したからこその言葉の重みを感じました。強く印象に残ったのは、「都内の建設コンサルタントは縦割り、地方の建設コンサルタントは横のつながり」という点。会社選びのひとつのポイントになるのではないでしょうか。話を聞いていて地方ので働くやりがい・楽しさに訴求されたのは、ここだけの秘密。
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