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今回インタビューしたのは、地方の建設コンサルタントで働く女性のSさん(45歳)。大学時代は上京するも、その後地方に貢献したいという思いから地元へ。そもそも建設コンサルタントになりたいと思ったきっかけから、いまのやりがい、地方の良さなど、リアルな声を聞かせてもらいました。
――本日はありがとうございます。まず、建設コンサルタントを目指したきっかけを教えてください。
振り返ると、高校生のときでした。公園で楽しそうに遊んでいる家族を見た瞬間ですね。
それから漠然と公園を作る仕事に就きたいと思うようになって、静岡から関東(千葉)の造園系の大学に進みました。
――当初は関東で建設コンサルタントを目指していたのですか?
いえ、静岡を離れたことで、地元の良さを再発見しまして。戻るつもりでした。
自分が生まれ育った街で、住む人の生活の質やまちの魅力を高める空間をつくりたいと思ったんです。
――地元の良さを具体的に挙げるとなんでしょう?
気候が温暖で住みやすい、交通の便がいい、まちが混雑していない、自然が豊か…。挙げるとキリがありませんね(笑)
――地元愛にあふれていますね(笑)。建設コンサルタントのなかで、いまの会社を選んだ決め手は?
会社の規模もそうですが、コンサルタントの業務が幅広かったこと。私が就職活動をしていた当初は、建設コンサルタントと検索すると、測量設計ばかり出てきて。
いまの会社は都市計画やまちづくりの分野が充実していて、自分のやりたいことができそうだと思ったからです。
――実際にいまはどんな業務をしているのですか?
史跡や都市公園の設計、観光地域づくりです。
地元住民や関係者とワークショップで意見を出し合って将来のビジョンをまとめたり、具体的な対策を提案、実行したりしています。
――建設コンサルタントのイメージギャップは、ありましたか?
ハード面のインフラ設計のイメージが強かったのですが、構想・計画や整備後の運営といったソフトの分野も大きく、可能性が広がっていると感じました。
――建設コンサルタントはキツい、多忙…というイメージがありますが、残業は多いと感じますか?
一時期多いときはありましたが、いまはそんなに多くないと感じています。
――どれくらいに帰れるものですか?
18時には会社を出てますね。繁忙期は遅くて22時くらいですが、繁忙期だけですし苦には感じていません。
――会社までは車で?
いえ、電車です。でも、都内のような混んではないですね。行きも帰りも満員電車はまずありません。
学生時代はそれを毎日のように経験していたことを考えると、天国です(笑)。
――建設コンサルタントのお仕事で、女性ならではの大変なことはありますか?
出産で産休・育休を一年以上いただきましたが、復帰時に仕事のブランクを埋めるのが大変でした。 育児と仕事のリズムを掴むまでは、体力的・精神的に辛かったです。
でも、慣れてしまえば大丈夫。家族をはじめ、周囲に頼ることも覚えたら楽になります。
――いまの会社は育休や時短はとりやすかったですか?
はい、とても取りやすかったです。周りにもいろいろフォローしていただきましたし、すごくいい雰囲気です。
――新卒でご入社されていますが、資格取得面のフォローはどうですか?
先輩方が丁寧に教えてくれますし、各部署が勉強会をやっています。専門分野以外の勉強会にも自由に参加できるので、とてもありがたいです。
――やりがいや思い出に残っているエピソードはございますか?
設計した公園を市民や観光客の方などが実際に使っている姿を見たときに、やりがいを感じます。それまでの苦労が報われた気がして。
自分が設計した公園で、娘と一緒に遊んだときも感慨深かったですね。地域の構想や計画を描く業務で、その後にさまざまな事業が展開され、一つずつ実現する過程を見られる。それもやりがいになっています。
――地方は住みやすいですか?
気候がよく、適度に市街地もあるし、都心への交通の便もいい。自然環境も整っているので、住みやすいと思います。リフレッシュできますよ。
――最後に今後の夢や展望を聞かせてください!
人口減少、少子高齢化、東京一極集中が進むなか、生まれ育った静岡を中心に、住み続けられる魅力ある地域づくりを実現することが大きな夢です。
そのために、これまでの経験の蓄積、行政との信頼関係を活かして、民間企業ならではの柔軟な発想・行動力で貢献していきたいと思います。
――本日はありがとうございました!
公園の設計がしたいという夢を実際にかなえたSさん。言葉の節々に地元愛があふれており、地域づくりへのやりがいの強さを感じました。
通勤のわずらわしさを感じないという点も地方ならでは。都内の通勤に疲れている私としてはとてもうらやましい限りです。生活の不要なストレスを減らすという意味でも、地方の建設コンサルタントに目を向けるのはありだと思います。
建設コンサルタントは男性の社員が圧倒的に多く、他業種と比べると依然として女性は少ない状態です。最近はドボジョという愛称で、土木系に勤める女性に注目が集まっていますが、思いのほか増えていないというのが建設業界の実情なのです。
それもそのはずで、土木工学を専攻する大学生の大部分を占めるのは男子学生で、女子学生は2割にも満たないといわれています。肉体労働が多くてハードワークであるというイメージが浸透しているせいか、目指しにくいと感じている女性が多いようです。
建設業界で働く女性が少ないとはいえ、女性の社会進出が当たり前になりつつある現代では、女性を積極的に採用する企業も増えてきています。昔のように、結婚や出産で退職をする女性が減っているため、多くの企業が共働き家庭や女性社員が働きやすい環境を整えるようになってきているのです。
育児休業や時短勤務などの制度を導入している企業もあります。建設コンサルタントを目指すときは、育児と仕事を両立できるような制度が整っているかを、事前に確認しておくと良いでしょう。
女性の社会進出が増えているといっても、妊娠や出産で築いてきたキャリアが失われるという女性は多いようです。特に、女性は20代から30代にかけて、出産や育児で仕事から一時離脱してしまう人も少なくありません。数年間働かないブランクと、小さな子どもがいるということで、採用を見送られてしまうケースはたくさんあります。
そんなとき、手に職をつけていれば、同じ職場で働き続けるのは難しくても、再就職先を見つけやすくなるでしょう。建設コンサルタントのような専門性の高い職業は目指す女性が少ない分、ライバルが少なく、就職先を確保しやすいといえます。
建設業界は専門性の高い知識が必要になるので、働くうちに資格を取ることをすすめられるでしょう。そのため、資格取得を支援する制度が整っている企業が多く、制度を活用すれば、独学よりも簡単に資格取得を目指せます。また、資格手当が支給される企業なら、高収入を得ることも夢ではありません。出産や育児で一旦仕事から離れたしても、資格さえ持っていれば、再び働くときに優遇してもらえたり、有利な条件で働いたりすることができるでしょう。
ホワイトな
建設コンサルタント会社の見分け方